【解説】パネル調査とは?
更新日:2025.01.09
マーケティングリサーチにおけるパネル調査はとても重要な役割をになっています。同一の対象者に継続的に調査を行うこの手法は、消費者の行動や意識の変化を時系列で捉える上で非常に有効です。しかし、その実施には独自の課題や注意点も存在します。
本コラムでは、パネル調査の概要やメリット、実施する上での留意点について解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
目次
1.パネル調査の概要
2.パネル調査とアドホック調査との違い
3.パネル調査のメリット
4.パネル調査のデメリット
5.まとめ
1.パネル調査の概要
パネル調査とは、同じ対象者に対して、一定期間にわたり同じ質問を繰り返し行う調査方法です。消費者ニーズを時間軸で捉えることにより、マーケティング戦略の立案、既存施策の分析、改善などに活用することが目的です。また、調査期間は目的に応じて異なり、半年程度から数年にわたり実施するのが一般的です。
特徴
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固定対象者:同じ対象者に継続的に調査を行います。
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時系列分析:対象者の意識や消費動向の変化を時間軸で捉えることができます。
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調査期間 :数か月から数年にわたることがあります。
2.パネル調査とアドホック調査との違い
「アンケート調査」と聞いて思い浮かべる調査方法は、目的に応じた対象者に対して単発でアンケートを実施する方法ではないでしょうか。
毎回異なる対象者に対して単発で実施するアンケートは「アドホック調査」とも呼ばれ、調査のたびに対象者を選定し、1回限りのアンケート調査における結果となります。また、時間軸で対象者の行動を追いかけられないのが特徴です。
一方で、パネル調査は、一定期間にわたり複数回のアンケートを実施するため、時間の経過に伴うデータを得ることができます。2者において、時間軸による分析の可否が大きな違いです。
3.パネル調査を活用するメリット
パネル調査は、消費者ニーズの把握や市場動向の分析、マーケティング戦略の立案などに有効に活用することができるため、多くのメリットがあります。以下で主なメリットについて解説します。
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対象者における個人レベルでの変化を時系列で分析可能
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対象者との信頼関係構築
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認知経路競合分析や将来予測に活用可能
3.1.対象者における個人レベルでの変化を時系列で分析可能
同じ対象者に継続的に調査を行うため、消費者の意識や行動の変化を時間軸で捉えることができます。また、商品の購入時間、場所、頻度、金額など、詳細なデータを蓄積することができます。なお、個々の対象者の変化を追跡できるため、集団レベルだけでなく個人レベルでの変化も分析することができます。
3.2.対象者との信頼関係構築
定期的な調査実施により、対象者との信頼関係を築くことができ、調査回数を重ねるほど、より率直で質の高い回答が得られやすくなります。また、基本情報を再度確認する必要がないため、効率的に調査を実施することができます。
3.3.競合分析や将来予測に活用可能
対象者が他社の商品に乗り換えた場合も、その経緯について情報を得られるため、競合他社 への対策に役立てることができます。また、実際に観測された変数の時間的順序関係を活かして分析することで、因果関係の推論に役立ちます。
4.パネル調査のデメリット
パネル調査を活用するデメリットを解説します。
デメリットを認識し、適切な対策を講じることが重要です。
4.1.途中離脱の可能性
パネル調査は、長期間の調査のため、対象者が途中で離脱する可能性が高くなります。離脱に備えて、あらかじめ必要数よりも多くの対象者を確保する必要があり、コストが大きくなる可能性があります。
4.2.時間とコストの増加
上述したような対象者確保にかかるコストに加え、より多くの時間が必要になり、単発調査と比べて負担が大きくなります。また、調査結果をとりまとめて活用できる状態になるまでの時間も長くなります。
4.3.調査の一貫性
パネル調査は、長期間の調査のため途中で調査内容を変更することが難しく、調査実施時に長期的な視点が必須となります。一方で、同じ対象者に繰り返し質問するため、回答者の負担を軽減するための工夫が必要です。
5. まとめ
パネル調査は、消費者の行動や意識の変化を時系列で捉える強力なツールです。時間軸での分析や詳細なデータ収集が可能であり、マーケティング戦略の立案に大きく貢献します。上述のメリットとデメリットを十分に理解し、適切に対処することで、パネル調査の価値を最大限に引き出すことができます。変化の激しい市場環境において、消費者理解を深め、競争力を高める重要な手段となるでしょう。
以下のメリットとデメリットをまとめた表をご参照ください。
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また、当社でもパネル調査の実施を承っております。
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また、次回のコラムもお楽しみください!
